顎関節症の治療Temporomandibular disorders

顎関節症について

顎関節症は、顎の関節やかみ合わせのズレのほかに、顎や首の筋肉疲労、ストレス、不良な姿勢などが重なり合って発症し ます。 症状の発現は顎関節のみならず頭部・首・肩など広範囲に発現します。 そのため歯の治療が第一選択ではなく、痛みや機能障害を無くすか軽減する治療が優先される疾患です。 そして、大部分の顎関節症は理学療法・薬物療法などの保存的治療と家庭療法で改善できます。 また、歯科のみならず医科的な知識が必要になりますので熟練した歯科医師または、医科や口腔口外科との連携によって、よりよい治療結果を得ることができるでしょう。 また、症状が顔面・首にまで及ぶのでTMD(Tenporo Mandibura Disoders:側頭下顎部障害)と呼ばれています。

症状

  • 口を開けると顎関節に痛みや違和感がある
  • 口を大きく開けられない
  • 朝起きると顎が強張って口が開きにくい
  • いつも頭痛に悩まされる
  • 首や肩のこりがひどい
  • 耳の症状(耳の痛み・耳が詰まった感覚など)

原因

原因は多因子的で様々な要因が重なって発症します。 代表的な原因は

  • 生活習慣
  • 不良な姿勢の維持(コンピュータ操作時の猫背など)
  • 歯ぎしり、くいしばり
  • ストレス
  • 不正咬合(ふせいこうごう)

治療法

ほとんどの顎関節症は手術や歯を削るなどの不可逆的な治療を必要としません。 大部分がスプリント療法・理学療法・薬物療法など保存的療法で症状が改善されます。 ここでは、代表的な保存療法について紹介します。

セルフケア
色々な治療法を紹介しますが、顎関節症のほとんどは生活習慣が原因です。 例えば、くいしばり・はぎしり・姿勢・ストレスなど個人によって様々です。 治療によって症状は改善されますが、完治には至りません。治療の最終目標は原因を明確にして自己管理(セルフケア)ができるようになることです。
認知行動療法
くいしばり・姿勢の悪さなど不良な生活習慣が顎関節症の原因であることを認識してもらい、これを止めるように意識してもらう治療法。 要するに患者さん自身が気付かなかった「くせ」を発見して、その「くせ」を除くことです。単純なことですが顎関節症を治す最も大切な治療法です。
薬物療法
顎関節症を治す大切な療法です。症状に合わせて薬を選択します。 消炎鎮痛剤・筋緊張緩和剤・精神安定剤など。
スプリント療法
歯に馬蹄形の透明な装置を装着します。顎関節症の治療で最も多く選択される療法です。 一時的に上下の歯の接触が変化することで顎の筋肉活動が減少したり、顎関節にかかる 負担を軽減することで症状を緩和させることができます。
マニュピレーション
術者が徒手により患者の下顎に力を加えて、顎関節のズレを整復する方法です。

治療例

  • 顎関節症治療 Case1
    28才女性

    約二年前より口を大きく開けると顎に痛みがあり、口を大きく開けられない。 約2cm位しか口を開けられない状態で来院。

    朝起きたときや仕事中に顎に痛みやだるさを覚える。いつも頭痛に悩まされる。食事中、顎を動かしているとだるくなってくる。 いつも同じ姿勢で仕事をしているなど顎関節症を疑わせる症状を確認。

    認知行動療法・温湿布・超音波療法・スプリント療法にて約3ヵ月後開口時の痛みは完全に消失し、4.5cmまで口を開けられるようになる。

    セルフケアの習慣が身についたので定期的な検診のみとなる。かみ合わせに問題があり、矯正治療の必要性のある患者さんでした。矯正治療で顎関節症が治るとは限りませんが安定したかみ合わせはセルフケアを容易にし、再発を防止することができます。

  • 顎関節症治療 Case2
    30才男性

    硬い物を噛むと顎が痛い 朝、口が開かないことがあることを主症状として来院 歯ぎしりがある 歯のかみ合わせが左にずれている など顎の筋肉と顎関節に異常な負担のある状態であることを確認 薬物療法・スプリント療法にて症状は消失。

    また、調子が悪いときはストレッチやスプリントの装着など自分自身でコントロールできるようになったため、定期的な検診のみとなる。

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