豆知識ブログ

矯正方法・器具のお話

2023.09.01

矯正で行うゴムかけの効果や装着期間は?さぼるとどうなる?

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こんにちは。さっぽろ矯正歯科クリニック、院長の桜田です。

 

歯列矯正で矯正装置の装着と一緒に用いられることの多い「ゴムかけ」。

矯正装置に顎間ゴムをかけ、ゴムの力で歯を動かす力を助けるものです。

 

ゴムかけは患者様本人が毎日自分で行わなくてはいけないため、面倒だと感じている方も多いと思います。

 

しかし、矯正治療の中でもゴムかけは重要な意味を持っています。

 

今回は矯正治療で行われる「ゴムかけ」についてのお話です。

矯正治療でゴムかけを行う理由や必要な装着時間、ゴムかけをする上で注意する点などをご紹介します。

 

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矯正で用いられるゴムかけとは?付ける効果も紹介

歯に装着した矯正装置に顎間ゴムをかける「ゴムかけ」。

「ゴムかけ」は歯科医が指示した位置に専用の小さな輪ゴムをかけて、ゴムの縮む力を使って歯を引っ張るという処置です。

 

顎間ゴムのことを「エラスティックス」とも呼びます。

 

顎間ゴムにはたくさんのサイズや強さがあり、症状と治療段階に合わせて選択します。

 

ゴムのかけ方は目的に応じて数種類があり、歯科医の指導の元で患者様本人が毎日自分でゴムをかけることになります。

 

ゴムかけをすることによって、矯正治療の仕上がりを良くしたり、嚙み合わせ改善の効果を高めたりする効果があります。

 

矯正治療では歯に矯正装置を装着して、少しずつ歯を正しい位置へ移動させます。

ゴムかけを行うことでゴムの縮む力を利用して必要な箇所へ効率的に力をかけることができ、矯正治療の効果を高めることができます。

 

また、上下の歯にゴムをかけることによって、通常のブラケット矯正だけでは難しい噛み合わせの治療にも効果を発揮します。

 

上下それぞれの歯をしっかり動かして、不正咬合を改善し正しい噛み合わせを作ってくれるのです。

 

 

矯正のゴムかけの種類とかけ方

代表的なゴムかけの種類や、それぞれの装着方法についてご紹介します。

 

Ⅲ級ゴム

Ⅲ級ゴムは反対咬合(受け口)などの矯正で用いられます。

上の奥歯と下の犬歯を繋ぐようにゴムをかけます。

上顎の歯は前へ、下顎の歯は後ろへ引っ張られます。

 

Ⅱ級ゴム

Ⅱ級ゴムは上顎前突(出っ歯)などの矯正で用いられます。

上の前歯と下の奥歯にゴムをかけます。

上顎の歯は後ろへ、下顎の歯は前へ引っ張られます。

 

垂直ゴム

垂直ゴムは開咬(前歯を噛み合わせた時に開いている状態)の矯正に用いられます。

上下の歯に対して垂直になるようにゴムをかけます。

噛み合わせを深くする方向へ引っ張ります。

 

三角ゴム・台形ゴム

三角ゴム・台形ゴムは、開咬や仕上げの矯正に用いられます。

ゴムが三角形や台形になるようにゴムをかけます。

噛み合わせを緊密にしたり深くしたりする治療の中で行われる処置です。

 

クロスゴム

歯と歯がお互いにすれ違うようにかみ合っている歯に対して、たすき掛けのようにかけます。

例えば上の歯が外側に、下の歯が内側に傾斜している場合に上の歯の外側から下の歯の内側にゴムを掛けてすれ違いを治します。

 

ゴムのかけ方は患者様の歯列状態によって変わり、上記の他にもたくさんのかけ方があります。

 

 

 

ゴムかけで必要な装着時間や装着期間は?

ゴムかけをする必要がある時間や期間については、症状や治療内容に合わせて歯科医師が個別に指示をします。

 

共通しているのは歯や顎に負担がかからない程度の弱い力を長時間かけ続けることが必要ということです。

 

食事と歯磨きの時間以外は一日中ゴムかけを行うように指導されることがほとんどかと思います。

 

一方、ゴムかけをする期間自体は、矯正治療を行っている全ての期間というわけではありません。

矯正治療の処置の中の一つとして、数ヵ月ほどの期間で行われることが多いです。

 

 

ゴムかけをさぼってしまうと治療が長引く可能性も

ゴムかけは矯正治療の内容の一つです。

歯科医師はゴムのかけ方や強さを計算したうえで矯正治療の計画を立て、患者様にゴムかけの指導をしています。

 

ゴムかけが面倒、または違和感があるからと言ってゴムかけを指示通りにきちんと行っていないと、歯の動きが鈍くなり思っていた以上に時間がかかってしまうことも。

さらに、噛み合わせにずれが残ることもあります。

 

ゴムかけは患者様本人で毎日行わなければならず大変ではありますが、スムーズな矯正治療を行うためにも歯科医師の指示に従って必要な時間・期間をきちんと守るようにしましょう。

 

治療期間については「歯列矯正の治療期間と早く終わらせるためにできること」もあわせてご覧ください。

 

 

ゴムかけをする際の注意点

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ゴムかけは患者様本人が毎日処置・管理を行う必要があるため、特に下記の点に注意しましょう。

  • ・ 指示された位置に、指示された方法で正しくかける
  • ・ 慣れないうちは鏡を見て確認しながら正しい位置にかけるようにする
  • ・ 最低1日に1回は新しい顎間ゴムに交換する
  • ・ 常に予備の顎間ゴムを携帯し、できるだけ長い時間かけられるようにする

 

ゴムをかける位置を間違えてしまっては望んでいる効果が得られないため、ゴムかけに慣れていない最初のうちは特に注意が必要です。

 

また、慣れないうちはゴムをかけて引っ張られている歯や歯茎が痛くなってしまうことがあります。

通常は時間が経つにつれて慣れ、自然と痛みも気にならなくなることがほとんどですので、痛みがあるからといって自己判断でゴムかけをやめてはいけません。

 

我慢できない程の強い痛みや、歯ではなく顎の痛みや違和感などがある場合は、まずは担当の歯科医師へ相談するようにしましょう。

 

 

まとめ

●矯正治療では歯に装着した矯正器具に小さな専用の輪ゴム(顎間ゴム)をかける「ゴムかけ」の処置を同時に行うことがあります。

ゴムの縮む力を利用して、歯を動かす力を継続的に歯にかけることができます。

矯正治療の効果を高め、噛み合わせを整える治療にも効果を発揮します。

 

●ゴムの大きさや強さはさまざまで、代表的な種類にはⅢ級ゴム、Ⅱ級ゴム、垂直ゴム、三角ゴム・台形ゴム、クロスゴムなどがあります。

症状や治療に合わせたゴムのかけ方を歯科医が個別に指導します。

 

●ゴムかけは基本的に食事と歯磨きの時間以外には常に行うように指導されます。

顎間ゴムを使って歯へ長時間の力をかけることで高い効果を発揮するからです。

矯正治療中の一つの処置として、数ヶ月程度の期間となるのがほとんどです。

 

●歯科医はゴムかけの効果も計算して治療計画を立てています。

ゴムかけを正しく行わないと治療期間が長引いたり、適切な治療効果が得られない場合がありますので注意しましょう。

 

●ゴムかけは患者様本人で毎日行う必要があります。

慣れるまでは鏡を見てゴムをかける位置をしっかり確認しながらゴムかけを行ってください。

はじめのうちはゴムをかけた歯に痛みが出るかもしれません。

通常は時間が経つにつれ痛みが引いていきますが、気になるようであれば歯科医へ相談するようにしてください。

 

矯正についてお悩みの方は、さっぽろ矯正歯科クリニックへのお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

さっぽろ矯正歯科クリニック院長
日本矯正歯科協会認定専門医
日本矯正歯科学会 認定医
桜田明宏 (Sakurada Akihiro)

噛み合わせや歯並びの異常は、歯周病や顎関節症等の肉体的影響とともに精神的にも影響します。
当院では目立たない矯正治療の提供を目指すなど、患者さんのカラダとココロの両面に配慮した治療を心掛けています。最新の矯正歯科の研鑽に努め、肉体的にも精神的にも健やかな人生を送ることができるような矯正歯科(治療)の提供を目指しています。

著者・論文、所属学会などは院長・スタッフ紹介をご覧ください。

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